たとえそれが私にしか見えない星でも
空を見上げて、星を追いかけていた。
「何してるの?」
ナツミが聞くから、星を見ていると答えた。
「へぇ、じゃあ私も見ようかな」
私の隣に腰を下ろして、ナツミも空を見上げた。ナツミの横顔は悲しげで、私はそれを見ないようにした。
「ねぇ、今どの星見てる?」
あの星。視線を動かしてそう伝える。
「それじゃわかんないよ」
ナツミはおかしそうに笑った。
「あと一ヶ月だって。一ヶ月前もそう言ったのに。どうせならきっちり宣告して欲しいよね」
空が滲んで、淡い水色が浮かぶ。
青空を見ると、いつも思い出す。声を失ったばかりの頃の私と、ずっとそばにいてくれたナツミ。星なんてどこにもないのに、ずっと2人で空を仰いでいた。ナツミはどこかで、星を見ているだろうか。